地中海を2700キロ泳いだウミガメ、チュニジアの島で越冬へ

キプロスで産卵したアカウミガメが、地中海を約2,700キロ泳ぎチュニジアのジェルバ島に到着しました。エサが豊富な浅瀬で冬を越す様子が衛星追跡で確認されています。

元のニュース:Webdo(チュニジア)(2026年10月27日・外部サイト)

海中を悠然と泳ぐアカウミガメ(イメージ)(イメージ)チュニジア
海中を悠然と泳ぐアカウミガメ(イメージ)(写真はイメージです)写真: Tanguy Sauvin tanguysauvin / Wikimedia Commons(CC0・トリミング)
STEP 1

まずは、ざっくりニュース

北アフリカのチュニジア南東部にあるジェルバ島に、地中海をはるばる旅してきた1匹のアカウミガメが姿を見せました。

このカメは「ララ」と名付けられた大人のメスで、体の長さは78センチあります。

ララは2026年6月24日に、東に遠く離れたキプロス島で卵を産んだあと、背中に衛星追跡の発信機をつけて旅立ちました。

ララはエジプトやリビアの沖合を通り抜け、約2,700キロもの海を泳ぎ続けました。

この距離は、日本の東京から沖縄の那覇までの直線距離を大きく超えるほどの長さです。

そして9月10日にジェルバ島の保護区へたどり着いたララは、10月に入ると島と本土のあいだにあるブーグララ潟という浅い海へ入りました。

この浅瀬はカメのエサとなる生き物が豊富で、冬を越すのに適した環境が整っています。

そこで現地の保護団体や研究機関、地元の漁師たちは、潟の中を泳ぎ回るララの安全を協力して見守ることにしました。

専門家は、国境を越えて広い海を回遊するウミガメを守るために、こうした沿岸の豊かな自然を残すことが大切だと訴えています。

STEP 2

ドヤ塾、本日の授業

ポカン君
ポカン君

先生、キプロスから2,700キロも泳いだウミガメが、チュニジアのリゾート島に住み着いたって本当ですか? 地中海を泳ぎ切ったご褒美に、南の島でバカンス満喫中なんですか!?

ドヤ先生
ドヤ先生

バカンスではないわい! じゃが2,700キロといえば東京から那覇までを大きく超える大移動じゃ。エジプトやリビア沖を通り、約120日もかけて辿り着いた大航海なんじゃよ。

ポカン君
ポカン君

気の遠くなるような旅ですね! でも地中海には他にも島がたくさんあるのに、なんでわざわざチュニジアの島を目指したんですか?

ドヤ先生
ドヤ先生

ちゃんと計算がある。この島があるガベス湾は全域が水深200メートル未満の大陸棚でな。浅くて海水が温まりやすく、底にエサが山ほどおる絶好の越冬地なんじゃ。

ポカン君
ポカン君

なるほど! 寒さをしのげてご飯も食べ放題な、天然の温泉付きバイキング会場だったわけですね。

ドヤ先生
ドヤ先生

うむ。特にララが泳いでおるブーグララ潟は、エサ資源が非常に豊かな浅瀬じゃ。冬の間にしっかり体力を養うには、これ以上ない理想郷なんじゃよ。

ポカン君
ポカン君

グルメ旅まで兼ねてるとは賢いですね! でも海を潜って泳ぐカメの現在地が、どうしてそんなに正確に分かるんですか?

ドヤ先生
ドヤ先生

科学の力じゃ。キプロスで卵を産んだあと、背中の甲羅にアルゴス衛星の発信機を装着したんじゃよ。

小型の衛星追跡発信機を甲羅に装着したアカウミガメ
小型の衛星追跡発信機を甲羅に装着したアカウミガメ(写真: MacKenzie Tom, U.S. Fish and Wildlife Service / Wikimedia Commons・パブリックドメイン)
ポカン君
ポカン君

うわ、甲羅にハイテクな小型リュックを背負ってる! これ、宇宙から24時間ずっと居場所を見張られてるってことですよね? なんだか落ち着かないですよ…。

ドヤ先生
ドヤ先生

人聞きが悪いわい! これがあるからこそ、カメの回遊ルートが分かり、漁の網にかかるのを防ぐ保護対策を国境を越えて打てるようになるんじゃ。

ポカン君
ポカン君

たしかに、せっかくの大航海で網に引っかかったら大変ですもんね。現地でも漁師さんたちが見守ってくれてるんですか?

ドヤ先生
ドヤ先生

そのとおりじゃ。現地の保護団体だけでなく、地元の漁業者団体も連携して見守っておる。海を渡る命を守るには、地域の協力が欠かせんのじゃな。

ポカン君
ポカン君

キプロス生まれでチュニジア育ち、まさに地中海の国際派ですね。ぼくもララみたいに、暖かい南の島で誰にも邪魔されずぬくぬく冬眠したいですよ。

ドヤ先生
ドヤ先生

おぬしが2,700キロ泳いだら、島に着く前に浮き輪ごと遭難するのがオチじゃ! …というか、ワシの足元で勝手に丸くなって甲羅干しをするでない!

ポカン君
ポカン君

先生の足元が遠浅のホットカーペットみたいに温かくて、冬越しにちょうどいいんですよ。

STEP 3

ついでに知りたいチュニジア

夕暮れに染まるジェルバ島の穏やかな海岸
夕暮れに染まるジェルバ島の穏やかな海岸(写真: Khemirasameh / Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)
ジェルバ島フーム・スーク沿岸に停泊する伝統的な小舟と浅瀬
ジェルバ島フーム・スーク沿岸に停泊する伝統的な小舟と浅瀬(写真: YayaKaufen / Wikimedia Commons・CC BY-SA 3.0)
チュニジアの基本データ
首都
チュニス
人口
約1,157万人
言葉
アラビア語
お金
チュニジア・ディナール(1ディナール=約53円。2026年10月の目安)
時差
日本より8時間遅い(夏時間は除く)
  1. 1

    北アフリカ最大の島であるジェルバ島は、独特な伝統的集落の景観が評価され、2023年にユネスコ世界遺産に登録されました。

  2. 2

    ジェルバ島北部にあるラス・ルメはアラビア語で「砂の岬」を意味し、長さ約10キロの砂州が広がるラムサール条約湿地です。

  3. 3

    ジェルバ島は、古代ギリシャの叙事詩『オデュッセイア』に登場する「蓮を食らう人々の島」の舞台と推測されています。

ことば解説
ブーグララ潟(lagune de Bougrara)(ぶーぐららがた)
チュニジア南東部のジェルバ島と本土のあいだに広がる広大な浅い海(潟湖)。底生生物が豊富で、ウミガメなどの越冬地やエサ場になっている。
アルゴス(Argos)衛星システム(あるごすえいせいしすてむ)
人工衛星を使って海洋生物などの位置を追跡する仕組み。小型の発信機を取り付けることで、動物が移動したルートを正確に調べることができる。

この記事の出典と参考資料

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