ツバルの国際空港の滑走路、飛行機が来ない時間は島いちばんの広場に
南太平洋の島国ツバルの首都の島は、幅がいちばん広い所でも650メートル。島に沿って延びる滑走路は、飛行機が来ない時間、サッカーや洗濯物干しの場になります。
「ドヤ塾 特別講義」は、日本ではあまり知られていない国の、思わず「えっ」となる文化や暮らしをじっくり学ぶ特別授業です。


まずは、ざっくり知る
南太平洋に浮かぶツバルは、人口約1万人の小さな島国です。
首都のあるフナフティ環礁のフォンガファレ島には、国民の半分近くが暮らしています。
島は細長く、幅はいちばん広い所でも650メートルしかありません。
長さ1524メートルのフナフティ国際空港の滑走路は、島に沿って縦に通っていて、島の幅の多くを空港が占めています。
この空港の発着は、1年に約100便ほどです。
飛行機が来ない時間、滑走路は島で唯一の大きな広場になり、人々はゴールポストやバレーボールを持ち込みます。
乾かしたい濡れた洗濯物を抱えてくる人もいます。
飛行機が近づくと、ホーンを鳴らし、赤い旗を出し、車が見回りながら到着を知らせます。
滑走路には照明が無いため、発着は昼間だけです。
滑走路に犬が入り込む問題もあり、本当はフェンスで囲むのが望ましいとされています。
しかし、世界銀行が関わった空港の改修計画では、島の暮らしへの影響が大きすぎるとして、フェンスを入れないことにしました。
ドヤ塾、本日の授業

先生、滑走路でサッカーって本当ですか!? 日本の空港でボールなんて蹴ったら、警備員さんが全速力で飛んできますよ!

飛んでくるのは警備員だけでは済まんぞ。日本では、だれも、みだりに滑走路を含む着陸帯などに立ち入ってはならんと航空法で決まっておって、破れば50万円以下の罰金じゃ。

50万円! ボール1個のために払うには高すぎます。じゃあツバルの人は、なんでそんな所で遊んでるんですか?

首都の島が細すぎるんじゃ。フォンガファレ島は細長くて、いちばん広い所でも幅650メートルしかない。長さ1524メートルの滑走路は島に沿って縦に通っておって、島の幅の多くを空港が占めておる。ほかに大きな広場が無いんじゃよ。

650メートルって、ちょっと歩いたら反対側の海ですよ! そこに滑走路をドーンって、細長い島の上に巨大な定規を置いたようなものじゃないですか。

うまいこと言うのう。始まりは第二次世界大戦中でな、島の人たちが小さな島へ移って、アメリカ軍がこの島に飛行場を造ったんじゃ。サンゴを固めた滑走路も、そのときに造られた。

戦争のときの滑走路が、今は国の玄関なんですね。でも、そんな所で遊んでいて、飛行機が来たら危なくないですか?

そもそも便が少ないんじゃ。発着は1年に約100便ほどで、滑走路に照明が無いから飛ぶのは昼間だけ。空いている時間のほうが、ずっと長いんじゃよ。

1年で100便って、週に2便くらいですか! それなら滑走路のほうも、ほとんど毎日が休みの日みたいなものですね。

そうじゃ。それで人々は、ゴールポストやバレーボール、それに乾かしたい濡れた洗濯物まで抱えて、ゆっくり滑走路に集まってくるんじゃ。

洗濯物まで!? 国際空港の滑走路が、国でいちばん大きな物干し場になってるんですか!

飛行機が来るときの合図もちゃんとある。まず予告のホーン、次に2回目のホーン、それから赤い旗と、到着を知らせながら見回る車。着陸の少し前に最後のホーンじゃ。

4段階も! 運動会の「位置について、よーい」より丁寧ですね。それなら洗濯物を取り込む時間もありそうです。

ただ、困っておるのは人より犬でな。滑走路に犬が入り込んで飛行機を危険にさらす問題があって、本当はフェンスで囲みたいところなんじゃ。

じゃあフェンスを作っちゃえば一件落着じゃないですか。

ところが、世界銀行が関わった空港の改修計画では、フェンスで島の暮らしが受ける悪い影響が大きすぎるとして、あえてフェンスを入れなかったんじゃ。島でただ一つの広場を取り上げるわけにはいかんからのう。

安全か広場かのどちらかを選んだんじゃなくて、合図で両方を守ってるんですね。日本じゃ立ち入り禁止の場所が、向こうでは町の公園なんだ。

そういうことじゃ。土地の狭い島国ならではの知恵じゃな。ワシも一度、あの滑走路でサッカーをしてみたいもんじゃ。

先生は最後のホーンが鳴っても「あと1点!」って粘りそうなので、見回りの車に回収されて終わりだと思います!

…滑走路から車で退場とは、国際空港デビューにしては地味すぎるのう。
ついでに知りたいツバル

- 首都
- フナフティ島
- 人口
- 約1万人
- 言葉
- 英語・ツバル語
- お金
- オーストラリア・ドル(1ドル=約109円。2026年10月の目安)
- 時差
- 日本より3時間進んでいる(夏時間は除く)
- 1
国名の「ツバル」は、ツバル語で「8つが並び立つ」という意味です。
- 2
国でいちばん高い所でも、海抜4.6メートルしかありません。
- 3
2019年には、政府の収入の8.4%が「.tv」ドメインの使用料でした。
この記事の参考資料
- Considering social impacts of investments in Tuvalu: is it a runway or a recreational area?(世界銀行ブログ、2015年)(blogs.worldbank.org)
- Of Runways and Playgrounds(世界銀行ブログ、2013年)(blogs.worldbank.org)
- 航空法(e-Gov法令検索)(laws.e-gov.go.jp)
- Funafuti International Airport(英語版Wikipedia)(en.wikipedia.org)
- Tuvalu(英語版Wikipedia)(en.wikipedia.org)
事実は上の資料で確かめています。記事の作り方はこちら。


