働く人の半分以上が毎朝外国から来る、リヒテンシュタインの国境通勤

アルプスの小国リヒテンシュタインでは、働く人の半数以上がスイスなど隣国から通う「国境通勤者」です。毎朝、国の人口の半分に匹敵する約2万人が国境の橋を渡って通勤してきます。

「ドヤ塾 特別講義」は、日本ではあまり知られていない国の、思わず「えっ」となる文化や暮らしをじっくり学ぶ特別授業です。

リヒテンシュタインの首都ファドゥーツと、ライン川の対岸に広がるスイスの山々(イメージ)リヒテンシュタイン
リヒテンシュタインの首都ファドゥーツと、ライン川の対岸に広がるスイスの山々(写真はイメージです)写真: Diego Delso / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0・トリミング)
STEP 1

まずは、ざっくり知る

ヨーロッパのアルプス山脈にあるリヒテンシュタインは、面積が約160平方キロメートルの小さな国です。

2023年末の時点で人口は4万15人で、隣国のスイスと関税同盟を結び、通貨もスイスフランを使っています。

1923年からスイスとの間に国境検問はなく、自由に行き来できます。

この国では、国内で働く人の半分以上が、外国から毎日通う「国境通勤者」です。

2016年の時点で、国内で働く3万7453人のうち約54%が国外から通っており、その大半はスイスとオーストリアからでした。

国の労働力の3分の2を外国生まれの人が占め、2019年の報道では、毎日約2万人が国境を越えて職場へ向かっています。

そのため朝の通勤時間帯には、スイスとの間を流れるライン川の橋の上で車の渋滞が起きます。

リヒテンシュタインはEUとの取り決めで移住を制限しており、EU市民とその家族に対する居住許可は、年間わずか72人分しか出ません。

しかし、この制限は国内に住むことだけに適用され、働くことには適用されません。

こうして、隣国に住みながら毎日橋を渡って通う暮らしが定着しています。

STEP 2

ドヤ塾、本日の授業

ポカン君
ポカン君

先生、働く人の半分以上が毎朝外国から通勤してくるって本当ですか! 毎朝外国から通勤なんて、毎日が海外出張じゃないですか!

ドヤ先生
ドヤ先生

出張どころではないぞ。日本では、有効な旅券を持たない者や上陸許可を受けない者の入国は出入国管理法で禁じられておる。島国の日本では、毎朝外国から通うなど仕組みの上でも考えられんのじゃ。

ポカン君
ポカン君

ですよね! それなのにリヒテンシュタインでは、どうして外国からそんなにゾロゾロ通勤してくるんですか?

ドヤ先生
ドヤ先生

1923年からスイスとの間に国境検問がなくてな、関税同盟を結んで通貨もスイスフランなんじゃ。2019年の報道では毎日約2万人が通っておって、朝はライン川の橋で車が大渋滞するほどじゃよ。

ポカン君
ポカン君

約2万人って、国の人口の半分くらいじゃないですか! 橋を渡ったら別の国なんて、川向こうのスーパーに買い物へ行く感覚ですね。

ドヤ先生
ドヤ先生

そうじゃ。2016年には国内で働く人の約54%が国外からの通勤者で、そのうちスイスからが約54%、オーストリアからが約42%じゃ。外国生まれの人が労働力の3分の2を支えておるんじゃよ。

ポカン君
ポカン君

でも、それだけ毎日通うくらいなら、会社の近くに引っ越してリヒテンシュタインの中に住んじゃえばいいのに。

ドヤ先生
ドヤ先生

それが簡単にはいかんのじゃ。公爵がEUと交渉して、外国人が移り住むのを厳しく制限しておる。EU市民が家族と住むための居住許可は、年間わずか72人分しか出ないんじゃよ。

ポカン君
ポカン君

年間たったの72人分! 超難関オーディションじゃないですか! それじゃ住みたくても住めませんね。

ドヤ先生
ドヤ先生

そうなんじゃ。ただし、この制限はあくまで「住むこと」だけで、「働くこと」には適用されんのじゃ。だから会社は外国から腕利きを集め、労働者は隣国から毎日橋を渡って通う仕組みが定着したんじゃよ。

ポカン君
ポカン君

住む場所は隣国、お給料はリヒテンシュタインで稼ぐ。国境が通勤路の横断歩道みたいになってるんですね。

ドヤ先生
ドヤ先生

うむ、隣国との深い結びつきがあってこそじゃな。小国ならではの見事なやりくりじゃよ。ワシも一度、検問のない国境をまたぎながら悠々と出勤してみたいもんじゃ。

ポカン君
ポカン君

先生は朝の橋の大渋滞に巻き込まれて、始業ベルが鳴る前に車の中で二度寝して終わりだと思います!

ドヤ先生
ドヤ先生

…国境の橋の上で二度寝とは、国際的な遅刻の言い訳としては派手すぎるのう。

STEP 3

ついでに知りたいリヒテンシュタイン

首都ファドゥーツの山腹に建つファドゥーツ城(公爵の邸宅)
首都ファドゥーツの山腹に建つファドゥーツ城(公爵の邸宅)(写真: Presse- und Informationsamt, Vaduz / Wikimedia Commons・CC BY-SA 3.0)
リヒテンシュタインの基本データ
首都
ファドゥーツ
人口
約4万人
言葉
ドイツ語
お金
スイス・フラン(1フラン=約191円。2026年10月の目安)
時差
日本より8時間遅い(夏時間は除く)
  1. 1

    海に出るまでに隣国もその隣も海がない「二重内陸国」は、世界でウズベキスタンとリヒテンシュタインの2国だけです。

  2. 2

    国内に空港がひとつもなく、飛行場としてはヘリポートが1つあるだけです。

  3. 3

    国の面積は約160平方キロメートルで、世界で6番目に小さい独立国です。

この記事の参考資料

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