モロッコ選挙の画像・動画、4分の1超がAI製・加工。風刺か偽情報か
モロッコの9月23日の議会選挙で、出回った画像や動画を人権機関が調べると、4分の1以上がAIで作られたか加工されたものでした。風刺と偽情報の境目が問われています。
元のニュース:Hespress English(モロッコのニュースサイト)(2026年10月5日・外部サイト)
まずは、ざっくりニュース
モロッコで9月23日に議会選挙がありました。
国家人権評議会(CNDH)が選挙期間中に出回った画像・動画・音声421件を調べたところ、116件(27.5%)がAIで作られたか、手を加えられたものでした。
内容は候補者や政党、公約、ボイコットの呼びかけ、風刺など幅広く、候補者が登場する架空の出来事を描いたものもありました。
モロッコのニュースサイト Hespress English によると、選挙後はAIが政治家を批判し、からかう道具にもなっています。
AIの風刺は必ずしも人をだますものではありません。
ただ、説明文が外れて再投稿されると、冗談が本物の発言に見えることがあります。
評議会は、AI製と示されていないものや、政党自身がAIを使った例も報告しました。
視聴覚通信高等庁(HACA)は6月、人を誤解させるおそれのあるAI製の選挙コンテンツの放送を禁じました。
作り物だとはっきり示せば、説明や事実確認のための放送は認めています。
Hespress は、問題はAI製かどうかだけでなく、見る側が風刺と論評と事実を見分けられるかだとまとめています。
ドヤ塾、本日の授業

諸君、ドヤ塾の時間じゃ。今日はモロッコの選挙と、AIで作った画像や動画の話じゃ。

AIって、ぼくの宿題をやってくれるあれですか。

やらせるでない。9月23日の議会選挙の期間に出回った画像・動画・音声421件を、国家人権評議会が調べたんじゃ。

421件も見たんですか。ぼくなら3件目で寝ます。

そのうち116件、27.5%がAIで作られたか、手を加えられておった。4本に1本以上じゃな。

4本に1本…ぼくの自撮りの加工率より低いです。

おぬしの自撮りは選挙に出ておらん。中身は候補者や政党、公約、ボイコットの呼びかけ、風刺までさまざまじゃ。

風刺って、政治家をからかうやつですよね。それって悪いことなんですか?

よいか、AIの風刺は、必ずしも人をだますためのものではない。研究者は、政治的な表現の一つとして扱っておるんじゃ。

MITなどの研究チームは70件を超えるディープフェイクを調べて、風刺や芸術、社会運動に使われた例を見つけておる。

じゃあ、何がザワザワなんですか?

冗談のつもりの動画でも、だれかが保存して説明文なしで再投稿すると、本物の発言に見えてしまうことがあるんじゃ。

つまり、「これはネタです」の札だけはがされて、ただの事件になるってことですか。

身もふたもないが、そういうことじゃ。ワシの若いころはのう、うわさ話というのは井戸端で…

先生、その話は長いのでまた今度で。

…コホン。研究者は、まちがった内容が広まったあとで、笑いが言い逃れの盾になりうるとも警告しておる。

「冗談だよ」ですね。うちの部長の飲み会の発言も、だいたいそれで逃げ切ってます。

言った側は冗談、言われた側は本気。日本の会議室でも毎日起きておる話じゃな。

じゃあ、全部に「AIです」って書いておけばいいんじゃないですか?

2024年の研究では、2808人を調べて、AIだという注記があると、パロディの見分け方や受け止め方が変わったそうじゃ。

ところが評議会によると、AI製だと示されていないものもあった。政党自身も、選挙運動でAIツールを使って画像や動画、音声を作っておったんじゃ。

からかわれる側も使ってたんですか。もう、だれが何のために作ったのか分からないですね。

そこで視聴覚通信高等庁が6月に決定を出した。人を誤解させたり、選挙の議論の信頼を損なったりしかねないAI製の選挙コンテンツは、放送禁止じゃ。

全部ダメってことですか?

いや、作り物だとはっきり示せば、情報や説明、事実確認のためには流してよい。ラベルが通行証というわけじゃ。

日本の選挙で困るのは、加工動画より名前を連呼する車ですけどね。

あれは人間が出しておる本物の音じゃから、注記のしようがないのう。…コホン。ナイジェリアの研究では、AIの短い動画は市民の抵抗にもなるそうじゃ。

一方で、ややこしい政治の問題を単純にしすぎて、冷めた見方を広げるおそれもある、とされておる。

笑ったあとに「どうせ政治なんて」で終わっちゃう、みたいなことですか。

そういうことじゃ。大事なのはAI製かどうかより、見る側が風刺か、論評か、事実かを見分けられるかじゃな。

ぼく、先生の授業が事実なのか昔話なのか、毎回見分けられてないです。

…ワシの授業にも注記を付けろということか。さて、今日のまとめじゃ。
ここだけ覚えて帰ろう
- 1
モロッコ選挙の画像・動画・音声の27.5%は、AIで作られたか加工されていた。
- 2
説明文が外れて再投稿されると、風刺が本物の発言に見えることがある。
- 3
放送向けのルールでは、AI製だと示せば説明や事実確認には使える。
- 国家人権評議会(CNDH)
- モロッコの人権機関。今回の選挙では、期間中に出回った画像・動画・音声を調べて報告した。
- 視聴覚通信高等庁(HACA)
- モロッコの機関。テレビなどの視聴覚サービスに向けて、放送してよい内容のルールを決めている。


